工房主の父が通う空手道場に寄贈して以来、その際のブログ記事をきっかけにご依頼を頂いている道場額(木札額)。今回は遠方のお客様からのご依頼で道場に掲示する額を製作しています。
30名×3段で90名分の額が当工房のスタンダートサイズですが、今回は特注サイズで35名×5段の175名分の額、しかもそれを3枚ご注文頂きました。加えて、木札のサイズが異なる25名分の特注額も同時にご注文頂きました。これを年内にお納めさせて頂くべく、製作を進めております。
これまで詳細の製作工程はあまり触れてきませんでしたが、今回は途中途中で写真を撮ったので、記事にしてみます。
まずは背板の加工です。背板は国産桧の合板を使っています。ご要望があれば無垢板で加工しますが、かなり高額になる上、このサイズの乾燥材はなかなか見つからないと思われます。用途的にも、ここは合板で良いかなと思っています。
合板はサブロクサイズ(910×1820mm)で購入し、当工房でカットします。以前は材木商のカットサービスを使っていましたが、どうしても1~2mm誤差が出るので、最近は自分で切っています。
余談ですが最近徐々に工房の電動工具をバッテリー型に換装しています。この手の仕事は圧倒的に楽ですね。残すところはジグソーとスライド丸鋸くらいかな。
背板のカットが済んだら、表面をサンディングします。この段階でしておかないと、諸々の部材が付いた後では大変なのです。
サンディングして綺麗になった面に、仕切り板の取り付け位置を書き入れます。この仕切り板の位置関係が微妙な匙加減でございまして、ここが丁度良い!という正解に辿り着くまで苦労しました。
墨付けが済んだら額縁を接着していきます。額縁同士の接着面は45度にして組み合わせます。ベルトクランプを使って四方の額縁を一度に接着することも可能ですが、ある程度の大きさになると接着剤を塗布して圧着するまでがかなり慌ただしくなりますので、一方向ずつ4回に分けて接着します。
額縁は上・下・横でそれぞれ切り欠き形状が異なります。
背板は合板なので突拍子もない動き方はしませんが、額縁に使う桧の角材は天然木なので少なからず動きます。切り欠きを作る段階で微調整しながら全体に大きな狂いが出ないように気を付けます。
桧の角材は合板ほどの精度で加工のされていない材ですので、1mm前後は厚みや幅に誤差があります。組み合わせてみて、適宜鉋等で調整しながら進めます。
四方の額縁が付いたら、型紙を使って札が間違いなく収まるかを確認します。
今回のような大きな特注額を受注した際は、これが完成するまで工房の他機能は一時停止となります。広い工房が羨ましい。
額と並行して札も作ります。今回は合計525枚の札が必要です。桧の無垢板で、亜麻仁油でオイルフィニッシュしたものを納品します。額の丈の誤差は限りなく0にしなくてはなりませんので、簡単な治具を使って切り分けます。スライド丸鋸という機械は実に有用で素晴らしい道具です。
今回はここまで。近日中に額に仕切を取り付けて木札が掲載出来るようになります。
最終調整が済んだら額本体も塗装し、納品という流れです。
参考までに、今回お納めする35枚×5段で175枚掛けの道場額は木札代込みで税込み60,000円です。文字入れはお客様自身で行われるとの事で、書入れ代は含まれておりません。
自分で言うのもなんですが、実にお値打ちだと思います(笑)
工房の規模的にあまりに大きなものは作れませんが、特注品にも柔軟に対応致します。
自分としては、町にある道場くらいの規模のところに掲示して頂くイメージのスケール感です。料理屋さん(ネタ札・お品書き)にも良いと思います。
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